未知祭り 開催にあたり
さて、改めてのことではありますが当法人は特定非営利活動法人設立要件の一つである保健、医療又は福祉の増進を図る活動を主たる目的とした障害福祉サービス事業(就労継続支援B型)と地域活動支援事業(地域活動支援センター)の運営を行っております。就労継続支援B型事業は、通常の事業所等に雇用されることが困難で、且つ、雇用契約に基づく就労に結びつかない方に対して就労の機会や生産活動等の機会の提供、又、その他の就労に必要な訓練や支援を行うことが目的とされております。一方の地域活動支援センター事業は、地域において自立した日常生活や社会生活を営むことができるように、創作活動や生産活動の機会を提供し社会との交流の促進を図ることに加えて日常生活に必要な便宜の供与を行うことがその目的にあります。
私たちは、これらの事業を供するにあたり利用者一人ひとりの障害や心身の状況に即した適切な支援の提供と人権に配慮した事業運営を常に心がけてまいりました。利用者ニーズの把握はもとより希望する生活を解するためのアセスメント力、個々の有する力を最大化するための支援技術、人権意識を基盤とするヒューマニズムの構築はどうあるべきか・・。それらの研鑽は利用者の方々の自己実現、生きがい、心身の健康に直結する大切な課題であり、福祉専門職に身を置く者の重要な責務であると捉えております。
そのような趣意のもと福祉学・医学系の研究者、福祉専門職諸兄、支援者諸兄の力を借りつつ「未知祭り~学び合いを共に~」は、私が理事職を拝命した以降毎年続けてきたものであります。「利用者の主体的な生活と自己実現を図るための支援技術とは」「利用者の社会参加の機会を保障するための支援技術とは」「生産活動、工賃向上はどのようにあるべきか」「利用者の個別性や心身状態に応じた支援のあり方とは」「利用者の権利と意思決定の保障はどうあるべきか」「天災、地変等リスクへの備えとその対応のありかたは」「虐待、差別防止の取り組み」等々、課題は山積みであります。回を重ねるたび自らの不全感と焦燥感に駆られることも正直なところであります。福祉専門職としてありようを、うわべだけのキャリアアップ研修や行政側からの義務的要請の研修だけで事が足りるわけでなないという思いもあり、意志ある市民の方、他事業所の福祉専門職の方等を毎回お招きし、また、利用者の方々の希望する研修も取り混ぜ、「未知祭り~学び合いを共に~」を企図してきたものであります。
いずれにしても、「支援する側、支援される側という関係性」「支援専門員が恩恵的にサービスを提供する」という考えを排除し、利用者との関係性は常に対等であるべきことに努めてまいりました。今般、メインテーマに挙げました尚絅大学人文社会学群人文社会学類教授松田道雄氏の研究論文の一つである『等話』(平等な会話が、あなたの人生と社会を変える)(新評論・単行本)・研修会Ⅲは、私たちが常に掲げている「対等な関係性」と相通じるものを著わしております。各研修項目の参加については一部制限もありますが、事前に後掲の案内に沿ってお申込みいただければ調整いたします。是非のご参加を賜れれば幸いに存じます。
理事長 名和 良吉